
前衛としての陶芸とは何か。清水穣評「尼ヶ根古窯─瀬戸黒のはじまり─」展
多治見市文化財保護センターで開催中の「尼ヶ根古窯─瀬戸黒のはじまり─」は、安土桃山時代に操業されていた「尼ヶ根古窯」でつくられた「瀬戸黒」に焦点を当てた展覧会(現在は休館中)。本展にみる瀬戸黒の変遷と「陶芸の前衛」について、清水穣が論じる。

多治見市文化財保護センターで開催中の「尼ヶ根古窯─瀬戸黒のはじまり─」は、安土桃山時代に操業されていた「尼ヶ根古窯」でつくられた「瀬戸黒」に焦点を当てた展覧会(現在は休館中)。本展にみる瀬戸黒の変遷と「陶芸の前衛」について、清水穣が論じる。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、多くの美術館で展覧会を「見に行くことができない」状態が続いている。アーティスト・三上晴子のコンセプトであった「被膜(皮膜)世界」は、防護服やマスクの意味も一変した現在の生活と、その奇妙さを示すものだった。三上の作品を手がかりとして、こうした状況を椹木野衣が論じる。

新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、イベントが次第に自粛されつつあった3月にいち早く企画されたオンライン映像祭。映像作家の佐々木友輔が発案し、荒木悠とともに映像作家たちに呼びかけ、9作家が参加し、3週間にわたって開催された。アーティストの大岩雄典が、コロナ禍の身体的な影響に触れながら作品群を分析する。

大衆社会による全体主義の生成メカニズムを詳細に分析した『全体主義の起源』(1951)などで知られるドイツ出身のユダヤ人思想家、ハンナ・アーレント。現在ドイツ歴史博物館では、「ハンナ・アーレントと20世紀」と題し、アーレントの活動を通じて、アイヒマン裁判やシオニズム、アウシュビッツにおける全体主義などを振り返る展覧会をウェブで公開中だ。キュレーターの檜山真有が、本展と照らし合わせながら世界各地で定着しつつあるオンライン展覧会の性質について論じる。

沖縄の地で、フィリピン人の父と奄美大島の母とのあいだに生まれ、ボクサーを経て写真家となった砂守勝巳(1951〜2009)。そのドラマチックな生涯ゆえか、作品そのものの評価が必ずしも正当になされてこなかった。広島や雲仙といった被災の地や、沖縄、釜ヶ崎をテーマとした写真シリーズで構成された同展について、東松照明の研究を沖縄で続ける、批評家の北澤周也がレビューする。

最先端のテクノロジーによって変化しうる、近未来の世界のすがたを都市や建築、ライフスタイル、身体の拡張、そして倫理など、様々な視点から照射する100点以上のプロジェクトや作品を見せた「未来と芸術展」。コロナ禍に直面しているいま、本展で提示された未来は私たちにどのように映るのか? 批評家のきりとりめでるがレビューする。

美術手帖では、批評家や学芸員らによる展覧会レビューを毎月掲載。そのなかから、4月に公開された全8本をお届けする。各レビューの詳細はリンクから全文をチェックしてほしい。

東日本大震災で発生した福島第一原発事故。これによって発生した帰還困難区域で、2015年3月11日から開催されている展覧会「Don't Follow the Wind」を現在のパンデミックと照らし合わせ、小田原のどかが論じる。

2020年2月26日に開幕しながらも、新型コロナウイルスの感染拡大によりわずか3日で休館し、5月6日現在も再開していない東京国立近代美術館の「ピーター・ドイグ展」。横浜美術館・館長の蔵屋美香が、3月までの勤務先である同館で見た展示を手がかりに、鑑賞体験における「絵画の物理的なサイズ」の意味と、それを再現するためのVR技術の可能性を考える。

『ハッピーアワー』(2015)や『寝ても覚めても』(2018)などを手がけた、映画監督・濱口竜介の短編作品『天国はまだ遠い』が3月29日から1ヶ月間限定でVimeoにて無料配信された。本作が配信というかたちで外出自粛期間に公開されたことに、どのような意味を見出すことができるのか。愛知県美術館学芸員・中村史子が、物語の構造を読み解きつつ、本作を見る現在へと接続させる。 ※本レビューは作品内容の記述を含みます。

東京都現代美術館での、日本の若手アーティストを中心に紹介する企画展シリーズ「MOTアニュアル」。その15回目となる昨年末より開催された「Echo after Echo:仮の声、新しい影」は、コピーやサンプリング、コラージュの手法が共通する作家5組によるものであった。本展を、美術家でありインディペンデント・キュレーターとしても活動する石毛健太が論じる。

石毛健太、田中良佑、BIEN、楊博の4名による展覧会「working/editing 制作と編集」が、アキバタマビ21で開催された。本展は、DVDボックスの特典映像といった作品制作の過程にある「作品未満」のもの、作品とは別のかたちを持つ「編集物」に焦点を当てることで「作品とは何か」を逆照射する試みであった。本展を、メディア・アーティストの谷口暁彦がレビューする。

劇作家の岡田利規と、アーティストの金氏徹平が、金沢21世紀美術館で発表した『消しゴム森』。インスタレーションと映像、そして演者と鑑賞者とが一体となるような演劇体験について、アーツ前橋学芸員の北澤ひろみがレビューする。

第12回恵比寿映像祭のプログラムとして上映された小森はるか+瀬尾夏美『二重のまち/交代地のうたを編む』。東日本大震災をきっかけに活動を開始し、記録を未来や遠くの人に受け渡すことを考えながら作品をつくり続けてきた小森と瀬尾。2人が向き合ってきた「当事者性」という問題を中心に、批評家の佐々木敦がレビューする。

50年にわたって、様々なメディアを扱い、人が現象世界に生きることの意味を探ってきたジョーン・ジョナス。第34回京都賞受賞(2018年)を記念したパフォーマンス『Reanimation』は、地球環境へ思いを馳せながら、イメージの断片からなる集積や彼女自身の行為、ジェイソン・モランのピアノの演奏、そしてそれらの融合を通して、複合的なメディア体験を観客に伝えるものだった。美術評論家の松井みどりがレビューする。

自然環境のフィールドレコーディングを中心とする作品制作を行う上村洋一。NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]で開催された個展では、北海道オホーツク海の流氷から着想を得たインスタレーションを発表した。身体や環境に対する新たな感覚の目覚めへと鑑賞者を誘う本展について、キュレーター・アーティストの黒沢聖覇が論じる。

複数の場所と回数に分けて、6作家の作品を展示した「パンゲア・オン・ザ・スクリーン」展。企画者の山形一生は、これらのばらばらの鑑賞体験を、ウェブ上に画像を掲載し、アーカイブすることで、ひとつの物語にすることを目指している。この未完のプロジェクトについて、TAV GALLERYと横浜会場を体験したアーティストの大岩が、展示や体験の分断という現状を横目で見つつ、同展を分析する。

美術手帖では、批評家や学芸員らによる展覧会レビューを毎月掲載。そのなかから、3月に公開された全14本をお届けする。各レビューの詳細はリンクから全文をチェックしてほしい。

映像を軸に絵画、ドローイング、立体、パフォーマンスなど、メディアと手法を交錯させる作品を制作する泉太郎。本展では、今年ティンゲリー美術館(バーゼル)で開幕する個展に先がけ、これまで撮りためてきた映像を用いた新作インスタレーションを発表。泉が様々な展覧会に際し宿泊したホテルの部屋で一人で実践し続けていた実験のひとつであるという試みを、美術評論家の中尾拓哉がレビューする。

2019年、上海に開館したたポンピドゥー・センターの上海別館・西岸美術館(ウェストバンド・ミュージアム)で、インスタレーション、パフォーマンス、セノグラフィー、サウンドなど、多様な表現形態を発表しているアーティスト、ナイル・ケティングの個展「保持冷静 Remain Calm」が開催された。美術館という舞台において、ヒトとモノ、そしていまや避けられない災害を組み込んだインスタレーションとパフォーマンスを、キュレーターでアーティストの黒沢聖覇が読み解く。